通り抜けと桜 貨幣、禁止
お散歩していたら、通り抜け禁止の看板がありました。

正確には「通り抜けできません」です。
こういう看板があっても歩行者は大抵通れますし、しかも「禁止」な場所に限って面白いものです。
構わずずんずん行ってみたところ、思った通り素敵空間でした。

散りかけの桜が奇麗です。
通り抜けと桜と言えば、大阪造幣局の通り抜けを連想します。
造幣局通り抜けとは、大阪造幣局が四月の時期に限って構内の桜並木を開放する、という粋なイベントです。今年の通り抜けは4月13日から19日ですから、丁度まっただ中です。
「西東京お散歩随想」「運転免許試験場 ブルース・真理・小池」で書きましたが、真理は常にマージナルな所に宿ります。そして内部にあって図らずも淵=縁がむき出しになってしまいそうな場所は、大抵「禁止」にされます。
大分以前に屋上という近くて遠い場所について考えたのですが、「通り抜け」というのも面白い主題です。
そこにはpathがあって、そこを通ればpassできるのだけれど、ショートカットされては困る空間が「通り抜け禁止」にされるのです。ここで言うショートカットとは「どうせ死ぬのだから今死んでも一緒」のようなミもフタもなさです。これを禁止し迂回を命じることで、内部の生はドライブされているのです。
フロイト、ラカンに親しい方なら、欲動pulsionを連想するでしょう。人工衛星が地平線の向こうへと「永遠の落下」を続けるように、一つの強力な留保によって快感原則という平衡(の夢)が成り立っています。それでもこれは「落下」なのであり、「予期せぬ諸々」により衛星の軌道がずれ、燃え尽きもするのです。
造幣局通り抜けが、正に貨幣という交換経済の中枢で行われることは、なかなかに興味深いです。造幣局なので紙幣ではなくコインですが、「お札なんてタダの紙じゃん」というミもフタもなさを禁じることによって、貨幣経済はドライブされています。
その中にあるpathが桜というpassing byするものの季節にだけ開放される、というのは、一年に一回お札を燃やす祭を開くようでもあり、また桜というイリュージョンが目くらましになっているようでもあります。
まぁ、そんなことを考えないで素朴に桜を楽しむのも結構ですけれどね。
以前、お友達のお姉さんが「犬の散歩禁止」の看板のある場所に犬を連れ込んで注意された時、「犬には読めませんよ〜」と流したそうですが、名言だと思います(笑)。
『通り抜けーその歩みと桜』 造幣局泉友会 編集 創元社 ¥2,548
関西の春は、奈良東大寺二月堂の「お水取り」で始まり、造幣局の「通り抜け」で終わる。通り抜けの桜を中心に、江戸時代からの桜の鑑賞の歴史と、日本各地の様々な桜をカラー写真で紹介する。
平成14年 大阪桜の通り抜け 貨幣セット
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