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2005年05月12日

『移動体通信の基本と仕組み』『ディジタル移動通信』

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 お仕事で携帯電話なるものに絡むようになったのですが、実は携帯に疎いです。
 何せ自分ではPHSのAH-K3001Vしか持っておらず、モバイルも最初おもしろがっただけですぐに使わなくなり、先月の通話料は260円、というヒトです。仕事では携帯電話ワールドの濃い局所とお付き合いしているのですが、歴史や概況が知りたくていくつか手にとってみました。

 まったくの一般向けの本としては、これが一番おすすめです。


『図解入門 よくわかる最新移動体通信の基本と仕組み 脱パソコン時代の移動体通信システム入門』
杉沼浩司 秀和システム 1,785円

 仕事で意味もわからず用語ばかり聞かされていたのが、すっきりしました。無線機部/制御部/信号処理部、という概念構成がわかったことで、バラバラぐちゃぐちゃだったCDMAやらTC8PSKやら周波数ホッピングやらといった術語について、とりあえず位置づけが整理できてきました。
 2001年の本なので情報としては古いのですが、どのみち何を読んでも一瞬で陳腐化しますから一緒のことです。似たような一般向け携帯電話本として『携帯電話の不思議』という本がよく平積みされていて、これも購入して読んだのですが、前四分の一くらいがあまりにも冗長な上、難しいことに限ってそっけない説明しかありません。
 『移動体通信の基本と仕組み』は、文章に色気があります。理系の人の文章能力の低さには時々唖然とさせられることがあるのですが、一方で「コピーライターをやっても成功していただろう」というくらいキャッチーなものを書く人がいます。本当に頭の良い人なのでしょう。専門家としては必ずしも超一級というわけではないのかもしれませんが、世の中で成功するのはこういうタイプの人だと思います。この本もおそらく、本職の方から見ればゆるい部分があるのでしょうが、文にリズムがあるので、読んだ内容が気持ちよく脳に定着してくれます。
 PHSに好意的なのも、個人的に嬉しかったです。

idotsushin.jpg『ディジタル移動通信』 藤野忠 昭晃堂 4,200円
 素人の読む本ではありません。
 多分一般的には、専門で勉強されている学生さんが使うのでしょう。教科書的な書籍です。
 当然ながら文学部出身のわたしなどが読んでも理解できないのですが、それでもくらいつく値打ちというのがあると思っています。
 どんな分野でも教科書的なスタンダードというのがあって、大抵は門外漢に冷たいスタイルをとっています。ただ、これを避けて「十日でわかる」「すぐできる」みたいなものばかりに浸っていると、いつまでたっても根本をつかめません。
 今回はそこまでの意気込みがあったわけではないのですが、とにかく何かがわからない時は、その局部だけを辞書的なレファレンスで知ろうとせずに、わからないものを成り立たせている全体の構造にわからないながらも突き進んで行くことが重要です。「閉ループ制御」というのが何なのかわからなくても、それは「送信電力制御」の一つであって、CDMAでは非常に重要な要素なのだ、ということがわかれば、部分はわからなくても全体の仕組みが少しは見渡せます。
 とはいえ、数字の弱い人間にはなかなかキツいものがあるのも事実です。専門家に言わせれば、アレがわからない人間には結局何もわからない、ということになるのでしょう。ええ、わかりません(笑)。
 ただ、わからないなりに「その世界でのその言葉のポジション」を感じられるようになるだけでも、専門家とコミュニケーションを取る上でとても役に立ちます。わたしには十分です。逆に言うと、そこで止まっているからただの雑学好きなのですが(笑)。

 どうでもいいですが、以前に「電波新聞」というエントリで、電機業界の業界紙に「トラヒック」という表記があったのをネタにしていたのですが、どうもこの世界では当たり前の書き方のようです。「ダイバーシチ」なども普通に使われています。
 どのみちカタカナ表記で正確な発音が再現できるわけもなく、その必要もありません。「ゲーテ」を「ギョエテ」と書くような時代がかった表現はむしろ好きで、可愛いと思っているのですが、業界が最先端くさいだけに、妙にウケてしまいます。


 それにしても、こんな仕組みを考えた人は本当に頭が良いです。
 電話というとなぜかとっつけないのですが、無線だと思うと面白くなってきました。
 実はアマチュア無線の免許を持っています。
 小学校五年の時に担任の先生の影響を受けて始めて、中学一年くらいまでは結構メカをいじっていました。その後バリ文系人間になってしまったのですが、こういうものを読んでいると不思議なくらい昔の記憶が蘇ってきます。
 50MHzと144MHzだったのですが、この帯域の電波(超短波)というのは電離層で反射されないので、限られたエリアとしか交信できません。でも夏の暑い日などには「スポラディックE層」(通称Eスポ)という強い電離層が生まれて、これをうまく使うと東京から北海道くらいまで飛ばすことができます。遠くのFM放送などが突然受信できることもあります。強者は飛行機などの反射も利用するようです。
 日常生活ではまったく使わない、まさに雑学マメ知識でした。

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