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2005年08月07日

寝不足で考えることとよく寝て考えること

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 昔入り浸っていたカフェのマスターに、こんなことを相談して怪訝そうにされたことがあります。

「寝不足で考えることと、よく寝て考えること、どっちが正しいんでしょうねぇ」

 普通に考えれば、ぐっすり眠って休んでから考える方が正確な思考ができるように思います。
 確かに一般的な事柄について言えば、まちがいなく寝てから考える方が正解です。疲れているときに無理して頭を使っても、自分で思っているほどのことはできていないものです。
 しかし一方で、あまりにもきちんと休んでしまうと、「穴掘り的思考」ができなくなってしまう部分があるように思うのです。
 「穴掘り的思考」とは、一度決めた方向(あるいはいつの間にかハマッていた方向)に向かって猪突猛進的に突き進んでいく頭の使い方です。この思考法は、もちろん客観性を失っていたりやりすぎになってしまったり、といった欠点はあるのですが、作業的な能力を発揮するときには重要な場合もあります。
 たとえば複雑な計算をやり遂げたりするとき、人は1ステップずつ着実に進んだりはしていないものです。そうではなく、メモリ上に一気に情報を読み込み、ある瞬間にものすごいエネルギーを注ぎ込んで一度に把握・計算しているのです。このような頭の使い方は、他の一般的要素を切り捨てて盲目的になるからこそ可能になるものです。
 よく眠って休んだ後などは、この「穴掘り的思考」が弱くなっています。冷静になり我に返って「わたし何やってるのだろう」というツッコミ精神がよみがえっているのです。
 もちろんこの突っ込みはとても大切で、これがないとひたすら猪突猛進で進んでいって気がつくととんでもないことになっていたりします。というか、わたしはよくなっています(笑)。
 一方で、人間が夢中になることなど、一歩引いて見ればくだらないことばかりです。一所懸命仕事をしていてあたかもそれが人生の重大事のように思っていたとしても、冷静に考えてみれば他に仕事がないわけではないでしょうし、その人がやらなくても誰かがやってくれたりするものです。だからこそ「冷静になれ」というのも一理ありますが、あまり冷静になるとせっかく自分を騙して人生に意義があるように勘違いしているのに真実に気づいてしまいますから、あまり冷静になるのも考えものです。人間、自分を騙してナンボです。
 要するに寝不足の方が冷静さがない分夢中になって突き進むことができるし、妄信あってこその成果というのも得られるのです。

 わたしはもっと文学や思想に夢中だった高校生のころ、寝ない食べないで超人的ヴィジョンに到達しようとして当時のクラブ顧問の先生に「まだ早すぎる」と注意されたことがありました。今考えると別に早すぎることはなく、こんなメチャクチャなことは人生のいつやっても狂っているし、何歳でやってもこれ以上狂うことも正常になることもなかったのですが、実際、身体を極限に追い詰めて得られる妄想ならではのすばらしい着想というのがあります。我にかえった時にいかほどの価値があるのかどうかは別問題として。

 件の問いを発したときのマスターの答えは、

「どっちも正しいんちゃう」

 というものでした。「寝てから考えた方がいいに決まってるやろ!」ではなかっただけ、公平にものを見られた回答だったと思います。

 で、結局オチはありません。
 週末にぐっすり眠ったりすると、かえって何をやってよいのやらわからなくなって困っているだけなのです。


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