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2006年12月30日

長崎訓子さんのイラストがすごい

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 『進化しすぎた脳』についてのエントリで、触れようと思ってうっかり忘れていたのが、イラストです。
 『進化しすぎた脳』には沢山のイラストが掲載されているのですが、これがどれも異様にヤバいのです。
 脳の本だけに電極の刺さったネズミやらホムンクルスやらが描かれているのですが、研究書的な「図表」ではなく「イラスト」の筆致で描かれたものです。これが奇を衒って新奇さやエグさを強調したようなものであれば「ふーん」というだけなのですが、とても素朴で素直なラインのイラストなものですから、心の防壁のスキを突くようにズブズブと侵食されていきます。子供の絵が時々発揮するタイプのヤバさです。
 気になって奥付を見てみると、長崎訓子さんというイラストレーターです。

 調べてみると結構有名な方のようですね。

『長崎訓子の刺繍本―こんな刺しゅうの本あったっけ?』 長崎訓子 大塚あや子 浜口愛子『長崎訓子の刺繍本―こんな刺しゅうの本あったっけ?』

 この覆面レスラーみたいなイラスト、『進化しすぎた脳』にも登場しています(笑)。
 ベストセラーの表紙を沢山描かれていて、こんな本のイラストも長崎さんです。

『金持ち父さん貧乏父さん』 ロバートキヨサキ 白根美保子『金持ち父さん貧乏父さん』 ロバートキヨサキ

『チーズはどこへ消えた?』 スペンサージョンソン SpencerJohnson 門田美鈴『チーズはどこへ消えた?』 スペンサージョンソン

 確かに言われてみれば同じアーティストのイラストです。

 これだけベストセラーを手がけていると、いかにも狙ったイラストレーターのようなのですが、絵柄自体はどう見ても「売るぞ!」というタイプのものではありません。
 これはわたしの勝手な妄想ですが、長崎さん自身は天然というか、バリバリ商業魂の人物ではないのではないでしょうか。
 もちろん狙ってやっている部分もあるとは思うのですが、このイラストの端々に現れる危険な匂いは、コマーシャリズムとか何とか言う以前に、まともな社会的センスがストンと落ちているところがなければ達成不可能な種類に思えます。

 こういうタイプのアーティストは本当に尊敬できます。
 世の中には危うい領域に踏み込んですごい作品を作ってしまう人というのがいますが、そのほとんどが商業的にはうまくいかないものです。社会生活自体が破綻していたりする場合もあります。
 そういう世捨て人的生き方をステキと思ってしまう方もいますが(最近はもうあんまりいないのかなぁ)、ハッキリ言ってわたしは全然尊敬しません。
 自称ミュージシャンで、バイトしながらバンドやってます!みたいな若者には辟易します。
 なぜなら、わたし自身がまさにそういうダメダメな時間の使い方をしてしまった人間だからです。

 いや、別にバイトしながらバンドしても、売れないアーティストでも良いと思いますよ。
 ただ「アーティストだからお金がなくても許される」みたいな防衛の仕方が非常にみっともないと思うだけです。
 作品の質は質。社会人としての質は質。両者は別のものであって、どちらか一方が立派だったら補い合える、というものではありません。
 逆に言えば、その辺を全部認めた上で、やむにやまれず作品を作ってしまう人はとても尊敬できます。
 両者を弁別するわかりやすい指標としてオススメなのは「これで売れれば立派なアーティストなのに」と考えるか、「作品さえ作らなければそれなりにちゃんとした人なのに」と考えるかです。後者のタイプの人物は美しいです。
 さらに社会生活の方もうんざりするくらい平凡にやっている人を見ると、超人だと思ってしまいます。わたしの中では、キリンビールの社員だったしりあがり寿さんとかがそういうタイプの人物です。

 話がズレましたが、長崎訓子さんのイラストからも、どこかそういう危険な匂いがしてきます。
 大分オブラートに包まれてはいますが、核心の部分は危うい人で、もしイラストというものがなかったら大変なことになってしまった星に生まれているように感じます。
 まぁ、わたしは絵のことなどサッパリで、ここに書いていることも100%勝手なイメージなので、実際の人物像は全然違うのかもしれませんけれどね。

 ちなみにイラストがヤバい!本としては、なんといっても現代書館のFOR BEGINNERSシリーズがあります。
 特にその第一作『フロイト』は本当に危険です。

『フロイト』 リチャード・アッピグナネッセイ オスカー・サーラティ 加瀬亮志『フロイト』 リチャード・アッピグナネッセイ オスカー・サーラティ

 しかもネタがフロイトですからねぇ・・・。

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