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2007年01月02日

映画『鉄コン筋クリート』

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 映画版の『鉄コン筋クリート』を見てきました。

 新作映画で久しぶりに「見たい」と思った作品なので、それなりに期待していったのですが、結論から言うと個人的にはもう一つ。
 『鉄コン筋クリート』は原作に結構思い入れがあって、期待しすぎたのがいけなかったかもしれません。
 と言っても、「原作原理主義」な立場で批判したいわけではありません。むしろ原作に忠実な映画化だと思います。
 松本大洋の独特の絵柄、宝町の雰囲気、メディアの障壁を越えてかなり頑張って映像化できているように感じます。
 でもなぜか、映画で見ると「こんなベタな話だったかなぁ」という印象を持ってしまうのです。
 単に原作『鉄コン筋クリート』を読んで大分経っているので自分の中でイメージが変形しているのかもしれませんし、わたしの価値観が変化したせいかもしれません。
 ただ、そういったパーソナルな要素の他に、原作に忠実であろうとしすぎたことがマイナスに働いてしまった面があるように思います。
 あの切り絵のような世界の独特の空気はとても気持ちが良いのですが、ストーリーとはミスマッチしてしまっています。松本大洋の絵柄というのは「キメ」が非常に効いていますが(「パルプ・フィクション」的な「キメ」)、動画で同じことをやろうとすると、瞬間に集約する圧力がどうしても低下してしまって、結果としてハードボイルドな台詞が浮いてしまったのではないでしょうか。
 わたしは映画化というものは、まったく別個の作品を一から作るものだと信じています。
 コミックや小説の映画化には、原作のコアなファンからの辛口な意見というのが必ずあって、忠実度について批判を受けるのは仕方がないでしょう。
 逆に言えば原作を愛してやまない方(わたしも『鉄コン筋クリート』原作はかなり好きなのですが)には良かったのかもしれませんし(もちろん最コアな方は何をやっても批判するでしょうけれど)、一緒に見たお友達は結構評価していたので、本当にわたしの極私的な「感想」です。まぁわたしはかなり変人なので、わたしにウケなかったということは、一般的には面白い映画という可能性も大です(笑)。
 あの町の雰囲気自体はとても美しいので、いっそ絵柄と雰囲気だけ受け継いでストーリーの方をまったく別にして再構築してくれても良かったかもしれません。

 そういう意味では、同じく松本大洋原作『ピンポン』映画化は素晴らしい完成度でしたね。
 あの映画についても是々非々の意見があるでしょうが、わたしは好きです。
 「アレを実写で映画化って一体・・」と思いながら見に行って、非常にヤラれた記憶があります。その後DVDで何度か見直しているくらいラヴです。

 基本的に松本大洋に見られるようなホモソーシャルでベタなロマンスには素朴に弱いです。兄貴分が最後にカッコつける!みたいな(笑)。

 なんだかネガティヴかつぼんやりしたエントリですいません。

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