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2007年05月07日

肉を食べないのは動物性脂肪のためではない

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 ダイエットというのは一大産業で、web上には怪しげなダイエット情報が氾濫、というか検索しても怪しいものしかひっかかりません
 「プロ」のダイエット屋(ダイエット論客)は、基本的にどこかの健康食品屋の太鼓もちか、「三食バランス良く食べて適度な運動を」的「ウチのオカンでも言えるわい」タイプのどちらかです。
 そうした「プロ」の中で、比較的わたしが好感を持っているのが河口哲也さん。文筆で食べているわけではないですが、All Aboutのガイドですからダイエット屋としてはかなりど真ん中でしょう。
 わたしがイイな、と思ったきっかけはアミノ酸ダイエットのウソ?!誰も教えてくれない本当のアミノ酸効果とは?
 「アミノ酸が脂肪の利用効率を上げるとしても、使わなければ一緒」「より運動できることによる効果は期待できるが、やらなければ意味がない」。
 少しでも自分で調べて食生活をコントロールする気のある人にとっては自明のことですが、当時のアミノ酸ブーム、氏の立場を考えると過激な発言だったことでしょう。
 スズメバチはVAAMで100km飛べるのかもしれませんが、VAAMを飲んでも100km飛ばなきゃ一緒です。

 この河口哲也さんが薦めているのが三点ダイエットという方法で、わたしの食指針にかなり近かったこともあり、マージして取り入れさせてもらっています(記事は2002年のものですが、この5年で人類の身体が大きく進化したこともないでしょうから、要点は一緒です)。
 三点ダイエットとは、「肉・小麦・甘味」の三つを食べない、という方針です。
 これだけ聞くと「普通やん」ですが、理由の説明が面白い。

 まず肉。

 飽和脂肪酸中心の肉の脂肪が非常によろしくないことは言うまでもないのですが、河口さんは肉のたんぱく質についても懐疑を投げかけています。たんぱく質と言えば、にわかダイエッターが「それだけは食べて良いもの」と信じていたりするのですが、たんぱく質も取りすぎれば害毒、かつほとんどの日本人で「足りない」ということはあり得ません。

人間の身体はある程度ならば体内で炭水化物やたんぱく質を脂肪に換える機能を持っており、これを三大栄養素の相互変換という。結局、全てと言うわけではないが、脂肪もたんぱく質も炭水化物も摂りすぎれば体脂肪になりえるのである。

 肉の問題はこれだけではありません。
動物性たんぱく質の摂り過ぎがカルシウムの排出量を増加させるという研究報告がある

たんぱく質(特に動物性たんぱく質)の摂りすぎは、動脈硬化や大腸がんを増やすとも言われている。それは、たんぱく質の分解過程でできるアミンという物質が体内で他の物質と結びつくことにより発ガン性の物質に変わるためによる。加えて、現在増加傾向にあるアレルギー疾患に関しても、その原因はある種のたんぱく質であり、恒常的にたんぱく質を過剰摂取している現状が、その増加を助長しているという説もある

 「家畜の肉以外にたんぱく源がない」という状況なら摂った方が良いでしょうが、現代のわたしたちは他にもイヤになるくらいチャンネルを持っているのですから、必要ありません。便秘や体臭の原因にもなります。
 「肉を食べなきゃスタミナが付かないよ」というかもしれませんが、カール・ルイスだってベジタリアンです。また、残念ながらソースを失念してしまったのですが、肉を多く含む食品と伝統的な日本食を食べさせて持久力を比較したところ、日本食の方が優秀だった、という報告を目にした覚えがあります。
 この辺りは個々人の体質によっても差があると思うので一概には言えないでしょうが、わたし自身の経験でも肉を食べると体力が落ちる感覚があります。また、鳥ササミなどの「ほぼ純粋たんぱく質」を食べても確実に太ります。

 話がズレますが、三点ダイエットでは否定されていない乳製品についても疑問があります。牛乳は「世界で最も過大評価された食品」と指摘した人もいますが、これが言いすぎだとしても、飽和脂肪酸中心の脂肪の塊であるなど、あまりにも問題だらけです。
 河口さんも以下のように指摘しています。

「ミルク・パラドックス」と呼ばれるものがある。これはカルシウム補給のために牛乳を飲むように薦めると、牛乳自体のたんぱく質や食生活が洋食化(高たんぱく化)して、かえって骨そしょう症などのカルシウム欠乏症が増えるという仮説である。

 わたしとしては、牛乳のカゼイン(たんぱく質の一種)がより問題だと考えています。カゼインがアレルゲンとなることはよく知られていますが、自閉症や統合失調症の悪化に関与している、という指摘があります。普通の人はカゼインがアミノ酸まで分解されますが、酵素の不足によりカゾモルフィンという分解途中の物質が体内に残ってしまうことがあります。これがオピオイド・システムと呼ばれる脳内の鎮静機構に過剰に作用してしまい、増悪を招いているのでは、というのです。
 もちろん、ほとんどの人には問題ないでしょうが、個人的に精神のぐちゃぐちゃさ加減には自信があるので、極力避けるようにしています。

 肉を一切食べなくなってから随分経ちますが、「肉ダメなんです」と言うと動物愛護的なベジタリアンだと思われることがあります。わたしは動物愛護や環境保護の観点から肉を食べないわけではありません。そうした効果も結果としてあるでしょうし、別に積極的に動物を虐待しようなどとは思いませんが、運動としての「動物愛護」には懐疑的なので戸惑います(※1)。
 さらに言ってしまえば、本当は健康のためですらありません
 「健康」に気遣ったところで百年生きるわけじゃないですし、病気になる時はなるものです。「健康」のためにもなるなら一石二鳥ですが、自分の信念や強迫観念を「健康」の名の元に補強している面の方が大でしょう。
 反芻動物のような穢れた生き物の肉が体内に入り込むこと自体が不愉快ですし、もう「信仰上の理由で」くらいの方が率直で良いのではないかと思っています。社会人的に0点ですけれど。
 こういう極端な食べ物信仰をフードファシズムなどと言って非難する向きもあるようですが、例によって蔑称として使われるだけで自称しているのは見たことがありません(※2)。
 試しに自称してみましょうか。こんにちは、わたしがフードファシストです


 例によって話がズレまくったので、小麦甘味は次回。


注意:
 このエントリでは敢えて「お気楽ダイエット」として扱っていますので(そういう効能もある)、「戒律としての意味」については別途エントリを立てます。
 また河口哲也さんご自身は、あくまで「健康痩身法」として「三点ダイエット」を提唱されているのであり、思想的意味を持たせているわけではまったくありません。ダイエット中でない人が肉食を楽しむことも大いに認めています。

『ダイエットミシュラン』 河口哲也『ダイエットミシュラン』 河口哲也

※1
 動物自体は好きですし、無用な化学実験等はできれば避けたいと思っていますが、「食べる」ためなら手を汚して殺す方が美しいと信じています。また環境保護については個々の行動について是々非々対応します。わたしが信じられる「動物への愛」はテンプル・グランディンが示すようなものだけです。
 ちなみに魚は食べますし(ブリ・鯖・サンマなどあまりにも高脂肪のものを除く)、昆虫や爬虫類も大丈夫です。あまり食べる機会がありませんが・・。

※2
 ナチスが「健康」に固執していたことは有名ですし、人種概念・身体とファシズムについて考えると、現在の「健康」信仰が「ファシズム的」であるとの指摘はまったくの見当違いというわけではありません。しかし厚生労働省や「健康」産業はこれをファッショと認めることもできない「にせファシスト」です。わたしはファシストなので、一周回って食を戒律により制限します。
 ただし、わたしはナチスの人種政策(「人種」および身体性の理解)にはまったく賛成できません。これについては「ムッソリーニ、人種、自由」を参照下さい。

関連記事:
「なぜ小麦を食べてはいけないのか」
「カロリーゼロの人口甘味料はなぜいけないのか」
「食と戒律、越境するファンタジー=愛」

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